学部学科トピックス
【研究者紹介】「食塩摂取量評価方法の開発」 丸谷 幸子 講師
本学の教員が、研究者としてどのような研究をしているかインタビューした「研究紹介」シリーズ。今回は丸谷 幸子 講師です。
健康科学部 健康栄養学科 丸谷 幸子 講師
◆専門分野
公衆栄養学、栄養疫学
◆研究テーマ
食塩摂取量評価方法の開発

【動画】
Q 研究内容について教えてください
減塩は世界と日本の健康増進にとって最重要課題の一つです。達成するための第1歩は「どれくらい食塩を摂っているか」を評価することです。しかし、正確に食塩摂取量を測定することは非常に難しいのが現状です。
現在最も正確に評価できる方法は、1日、24時間に排泄された尿を全て集めるというもので、実用には様々な困難が伴います。そこで、1回の採尿やアンケートなど、簡単な方法で1日の食塩摂取量を評価できる方法を、現代の日本人の身体的特性、食生活、ライフスタイルを考慮しながら開発、検討しています。



Q その研究の魅力を教えてください
1つ目に、公衆栄養学というのは、集団、特に地域の一般住民全体の健康問題を食・栄養から解決するという学問分野です。
本研究室の研究は、基本的には一般住民の方をターゲットにし、その方々が取り組めるようにという視点で進めています。
例えば、「1回の尿」であれば、学校や職場の健康診断で必ず採取する、それ以外の場での採取でも手間は小さいため、広く用いることができると考えています。
2つ目に、現代の日本人の特徴を考慮しつつ、精度が高い方法を開発している点です。
これまでに開発された類似方法(1回尿からの予測)は古いものがほとんどであり、ここ数十年で大きく変わった日本人の身体的特徴や食生活、ライフスタイルを考えると、現代に適応しているか疑問があります。
今回は開発段階で様々な因子を検討し、現代にあった方法をめざしています。
Q 本研究のこれからを教えてください
減塩は、世界、日本にとって非常に大きな課題です。
実際、全世界の死亡に関係する要因のうち、食に関するものでは「食塩摂取量の過剰」が最も影響が大きいと報告されています。中でも、日本(アジア)は食塩摂取量が多く、そもそもの食文化が他の地域とは大きく異なります。
また、人々の特性や生活は時代とともに変化します。
今回紹介している研究は、減塩対策の一番始めの段階をターゲットにしていますが、本研究室ではその先にある減塩の実践方法の開発検討もテーマとして扱い、現代日本人の生活や日本の食文化にも着目した内容としています。
日本人が行う研究として、実際に生活している人々の健康づくりの役に立つように、摂取量評価から実践までを一連の流れとしての減塩対策が提示できるよう進めて行きたいと考えています。
◆高校生へメッセージをお願いします
私は、「食=生きること、生活」と考えています。生まれてから死ぬまで、毎日の生活の中に食事があります。
そこにアプローチして社会や人々に貢献できることが、この学科・分野の最大の魅力だと考えています。
プロフィール
健康科学部 健康栄養学科 丸谷 幸子 講師
兵庫県神戸市出身。2年前から名古屋に来ました。食文化の違いに面白さと驚きを覚えています。
高校卒業後に進学した大学では臨床検査学を専攻しており、臨床検査技師をめざして勉強していましたが、卒業研究で糖尿病を扱ったことと同業者である母の影響をきっかけに栄養に関心を持ち、卒業後に別の大学の栄養学科に編入学しました。
管理栄養士の臨地実習で、一般住民の健康管理・予防に目覚め、公衆栄養学の道を志し、今に至ります。
