学部学科トピックス

2025.03.28
児童教育学科

【研究者紹介】「特別な教育的ニーズのある子どもへの支援に関する研究」
堀部 要子 教授

本学の教員が、研究者としてどのような研究をしているのかインタビューした「研究紹介」シリーズ。今回は堀部要子教授です。

 

児童教育学部 児童教育学科 堀部 要子 教授

専門分野
人間発達学 特別支援教育

◆研究テーマ
特別な教育的ニーズのある子どもへの支援に関する研究



【動画】

Q 研究内容について教えてください

小中学校に在籍する特別な教育的ニーズのある児童生徒(以後、ニーズ児)に対して、どのような指導・支援を行ったらよいか、その内容や方法について研究しています。
特に次の3点に焦点を当てて研究を進めています。
1点目は校内支援システムです。学校内の支援体制に着目し、チーム支援の手順や、特別支援教育コーディネーターなどのリーダーがニーズ児への支援にどのように関与しているか、について研究しています。
2点目は読み書きを中心とした学習支援です。読み書きが苦手な児童への効果的な指導・支援方法や、校内での取り出し学習支援方法を検討しています。直近では、ひらがな・カタカナ習得のための知育玩具「かなカナあそび」を開発しました。
3点目はSST(Social Skills Training)による行動支援です。個別のSSTをはじめ、小集団SST、学級規模や学校規模のSSTなど、効果的な実践方法について研究しています。大学生への授業でも小集団SSTを取り入れています。
特別支援教育においては、アセスメントに基づいた個への支援がとても重要です。また、周りをとり囲む人的環境がよいと、支援がより効果的なものになります。ニーズ児を含む全ての児童への支援のあり方を追究したいと考えています。

 

Q その研究を始めたきっかけを教えてください

研究を始めたきっかけは、多種多様な困難さを示す子どもたちとの出会いにあります。
私は、特殊教育から特別支援教育への転換(2007年)前後の混乱期を、公立小学校の教員として過ごしました。通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする子どもたちが特別支援教育の対象になり、まだ発達障害の理解や支援方法が十分に行きわたっていない中、目前の子どもたちへの支援にあたりました。これがきっかけとなり、支援に関する研究に一歩を踏み出しました。
当時、一人の子どもへの支援にあたっている最中に、さらにその向こうに多くの子どもが支援を待っているという状況でした。特別支援学級に在籍する子ども、通級による指導を受けている子ども、通常の学級に在籍する子ども、それぞれのニーズに合った支援に取り組む必要がありました。しかしながら、対象人数の多さや、多様なニーズに対応するのは、とても難しく思われました。
そこで、校内支援システムを構築し、チームで支援にあたることにしました。また、支援の対象を「個」から「集団」へと広げ、支援の内容も「学習支援」「行動支援」と、より多くのニーズに対応できるように拡大しました。これらのプロセスを通して実践的研究を進めました。

 

Q その研究が社会にどう貢献されているのか、 または人々の生活にどうつながるのかを教えてください

学校(園)に身を置いていると、さまざまな課題への対応に迫られます。中でも、多種多様な困難さを示す子どもたちに、どのように指導や支援を進めていくかは、大きな課題です。先生も保護者も対応に困っていて、実は子ども本人も困っている、そんな場面を見ることが多くありました。「今、この子に何ができるか」を自問自答しつつ、よりよい支援の実現をめざしました。
特別支援教育は、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。教育・保育職にある方々に、本研究の結果から示された有効な支援方法を学校(園)で取り入れていただくことで、ニーズ児の成長や学校(園)にある特別支援教育に関する課題の改善につながる可能性があります。
また、これから教育・保育職に就こうとしている大学生に、本研究の内容を提供することで、支援に関する実践力の土台を築くことができます。教員、保育者のみならず、保護者、なにより児童自身が、笑顔で過ごせるようになることを願い、本研究に取り組んでいます。

 

◆高校生へメッセージをお願いします

子どもの問題行動の原因や認知の課題が見える「特別なメガネ」があって、支援方法がどんどん出てくる「魔法のポケット」があればいいのですが…、なかなか簡単にはいきません。
だからこそ、特別支援教育や障害児保育を学び、そこで得た知識を土台に、子どもの姿をよく観て子ども理解に努め、よりよい支援をめざします。
「子どもの小さな成長に気づき、それを子どもと一緒に喜べる人」に、ぜひ教育・保育の仕事に就いていただきたいと思います。

 

プロフィール
児童教育学部 児童教育学科 堀部 要子 教授
公立小学校に勤務した後、愛知県立大学大学院人間発達学研究科博士後期課程を修了。博士(人間発達学)。
現在は、名古屋葵大学児童教育学部教授。おもに特別支援教育の領域において、校内支援システム、リーダー行動、読み書き支援、SSTなどの研究を行っている。